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自己紹介って難しい? 是的…。

 僕の担当する授業のひとつに「日本語作文」がある。学生の日本語による文章作成能力を鍛えることが、その主たる目標である。これはきわめて当たり前のことで、何も力んで書くまでもないことではあるけれど。こうした授業の最初の段階で、学生に書いてもらう作文のお題のひとつが「自己紹介」である。これもまたよくあるパターン。

 実際に書いてもらい、宿舎でじっくり読ませてもらう。みんな、それなりによくまとまった上手な自己紹介文を書いてくるなぁ、というのが僕の率直な感想だった。ただ、気にかかるのは、誰が書いた文章も大同小異で、文の構成まで似ている、という点にある。こういう宿題を出したときに、僕がまず注目するのは、ひとりひとりの「個性」が文章から匂い立つかどうかということにある。文法上のミスとか、文章表現の巧みさとか言ったものは、二の次なのである。こういう技能は、文章を書き続けて、添削を受けている間に、ある程度は向上していくものだ、と僕は少し楽観的に考えてしまう。けれど、個性というものは、僕が与えうるものではない。それは、学生たちが生まれて今日までの人生経験の中で自然と育まれてきたものであるはずだからである。

 個性が感じられない文章というのは、表情のない仮面のようなもので、同じような仮面を延々と見続けていても記憶にとどまらないように、個性のない文章に僕の心はときめかない。「だから、ちょっとした文法上の粗は気にしなくてもいいんだよ。もっと思いのままに文章を書いてみてはどう?」と、僕は提出された作文に向かって、独り言のように話しかけてしまうのだ。

***

 ところで、我が身をふりかえってみると、実は僕もエラそうなことは言えない。僕自身、自己紹介をすることが苦手なのだ。まず、自分を客観的にとらえているのかどうかさえ自信がない、たとえこの歳になっても。もちろん、生年月日、性別、出身地、出身校などといったものは、単なる事実でしかないから、すぐ書ける。でも、それ自体、僕の個性(があればってことですが…)を端的に表すものとは言えない気もする。一方、自分の性格に至っては、自分でもよくわからない。どちらかといえばマジメではある。でも、そのマジメさを自分からわざわざ眉根を挙げて強調したいとは思わない。むしろ、そんな方に力が入りそうなときにかぎって、僕はついつい不真面目な、ひょうきんな顔つきや態度をとってしまいがちだ。そういう意味では、照れ屋なのかもしれない。初めて顔を合わせた人とは、まともにおしゃべりもできない。それでいて、一旦気心が知れて、気兼ねがなくなると、際限なくおしゃべりをしたくなってしまう。「マイペース」を口にしながら、案外せっかちな性格で、失敗の数を数えればきりがない。それでいて落ち込むことは少ない。同じ失敗、過ちを繰り返さなければ、失敗もまたひとつの成長の糧なのだ、と楽観的にとらえようとする。さてさて、僕っていったいどんな人間なんだろう?誰かに聞いてみたい気もするけど、思いもかけない返事が返って来て、すっかりへこんでしまいそうな気もして、うかつには訊けない…要するに僕はそういうタイプなのかもしれない(笑)。う~む。こう考えてくると、個性あふれる自己紹介って、書いてみると結構難しい、ですよね。

***

 こんな僕でも気兼ねをせずに、遊びに来てくれる学生がいてくれればいいけれど、どういうわけか今学期は、そういう学生がごくまれにしかいない。それはそれで構わないんだけれど、僕の本音としては「おいでませ一石亭へ」と宣伝を打ちたくなる今日この頃、です。どもども…ってこのネタが最近多いな、いや、何度も繰り返し、どもども。

 

Comment

実感しました!自己紹介の難しさを、面接した時に!v-16

自己紹介って難しい? 是的…。

自分を客観的にとらえることは非常に難しいと思います。私の場合、正直で情熱さが溢れている反面、せっかちで決断力に欠けるのは欠点です。実際のところ、どうなんでしょう...
先生、二花さん、どうぞ、よろしく。

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