FC2ブログ

風花を待つ夜に

 雨が降っている。底冷えするような寒さではないけれど、しとしとと降る雨の音が、夜の闇に沁み広がるのを感じると、自然とつま先から冷え込んでいくような気さえする。予報では、明日から雪に変わるとのこと。そうだとしたら、今夜あたりから、朝を待たずに闇の底から白く染まっていくのだろうか。それもまたよし。僕は寒さには弱いけれど、窓越しに見る雪の朝は、それなりに趣があって好きである。そんな日は、舞い散る白い風花を、熱いコーヒーを飲みながらじっと眺めていたい。…と、のんびり過ごせれば幸せだけど、明日は朝から夕方までびっしり授業が入っている。おそらくバタバタと宿舎を飛び出して、教学楼に駆け込むことになりそうだ。せめて、雪道に足をとられて滑って転んだりして、粋の欠片もない道化師の役を演じないようにしたいなぁ。いや、冗談抜きで、こういう役だけはうまいんですよ、僕(笑)。

***

 ところで、ほんの数日前まで、僕はかなり落ち込んでいた。ヘコんでいた、といってもいいくらいだった。それも、並大抵のヘコみかたではなかった。得てして、そんな時にかぎって無理に陽気にふるまおうとすると、かえってしくじってしまうことが多いのが世の常、というもの。だからこそ、僕はひたすら部屋に閉じこもって過ごしてきた…たいていは無為に。それでも、ときには気持ちを取り直して、本棚に並んだ文庫本を取り出して気のすむまで小説の世界に浸りこんだりもした。だから、無為の生活とは言っても、まったく収穫がなかったわけ…でもない。

 たとえば。

 先月、日本から届いた『新潮』12月号をパラパラとめくって、井上靖「中国行軍日記」にも目を通した。これは、井上靖が発表を前提としないで書きつづった日記で、彼の心情がありのままに映し出されている。決して大げさな表現は用いられてはいないけれども、戦地の悲惨な状況は、その日記の行間からも透かし見ることさえできて、胸が痛む。僕にはよい戦争と悪い戦争という区別があるとは思えない。すべての戦争は、敵味方の区別なく悲劇をもたらす。人は、戦争という悲劇を繰り返さないために最大限の努力をすべきであり、それ抜きでやれ軍備の拡張だの防衛力の強化だのと喚き回る手合いには賛同できない。そういう人間が僕のような立場を非現実的と嗤うなら、それを甘んじて受けてもいい。人殺しでしかない戦争を煽るのが愛国者か、非戦に命をかけるのが愛国者か、歴史がその裁きをしてくれると信じているからである。

 …おっと、これまた少しマジメな固い話になってしまったような、ははは。僕のこだわり癖は、まだなかなか抜けそうもないな、この調子では。でも、まあ、後ろ向きの思考回路は持たないようにしたいと思っているので、どうかあきれずに、今後ともよろしくお付き合いください。ではでは。

スポンサーサイト



HOME

「日本国憲法」

日本国憲法

カレンダー

11 | 2009/12 | 01
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

新着情報

「お風呂を買ってルンルンしよう」(12/18)中国語訳が追加されました。2008-12-20 NEW

「夢が試される場所」(12/11)中国語訳が追加されました。2008-12-20 NEW

「16Daysのカウントダウン」(12/16)中国語訳が追加されました。2008-12-18 NEW

「お風呂を買ってルンルンしよう」(12/18)語注が追加されました。2008-12-18 NEW

「焼きうどん のち メランコリック」(12/17)中国語訳が追加されました。2008-12-17 NEW

「原点へ、原点から。」(12/15)語注が追加されました。2008-12-16 NEW

「夢が試される場所」(12/11)語注が追加されました。2008-12-11 

「夢の背中」(12/10)中国語訳が追加されました。2008-12-11 

プロフィール

一石亭華中

Author:一石亭華中
ようこそ、本ブログページへ。
一石亭は中国在住8年目を
迎えました。
でも中国語はまだ初歩の初歩。
趣味は「お仕事」と散歩、それに写真撮影。
あ、それからお昼寝も…趣味のうち、かも…。

YouTube今週のウタちか

凹んだとき、元気がでないとき、僕を支えてくれ、力づけてくれるウタを週替わりで紹介します。ちょっと古い歌が多いかも…ですが。今週も「ちょっと切ない歌」を。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

月別アーカイブ

日本文学100選

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

リンク