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時は何処へ…

 近頃僕はよく時間について考える。

 時の流れというのは不思議なもので、瞬きする間もなく通り過ぎてゆくかと思えば、たゆたうように緩やかに流れるともなく流れてゆくこともある。そのような経験は誰にでもあることに違いない、きっと。けれど、この半年間というものは、どのように表現したらよいのか、僕にもわからない。まるで僕の内面とはかかわりなく、遠い世界で時間は流れ去ってゆくような感覚。僕自身は、時間から置き去りにされて、ひとりで曠野を彷徨っている…たとえて言えば、そんな感覚にとらわれてうずくまるしかない週末。つまるところ、僕はまだ現実としての「僕」を取り戻しきっていないだけのことなのだ、と思う。

 今週は、そうした閉ざされた時間の中で、本を読んで過ごした。三島『豊饒の海』第4部「天人五衰」それから同第2部「奔馬」へ。こうして読み返してみると、20代の頃、初めてこの作品を読んで受けた衝撃とは異なる、静かな浸透力を、感じないではいられない。だからこそ、学生の皆さんには少し難解な作品かもしれないけれど、でひ読んでほしいと思うのである。なお、三島作品以外では、北杜夫『白きたおやかな峰』。久しぶりに目を通してみると、やはり僕の生き方の原点の一つが、そこに描かれていたのだな、と思わず苦笑してしまった。

 日本の新しい作品に触れる機会は少ないが、帰国したら、まず村上春樹の新作『1Q84』を購入して読もうと思う。それにしたって、僕が新作にすぐ飛びつくなんて、正直言えば極めて珍しいことなんだけど…(笑)。

 さ、明日は午後から卒論答弁会。学業の総まとめとしての4年生の論文をしっかりと読ませてもらって、その内容について、真摯に問いかけたいと思っています。

 

 放課後の 暗き階段を 上りゐし

     一人の学生は いづこに行かむ

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いやはや、間の抜けた話で、どもども…

 ちょっと間の抜けた話で恐縮だけど、最近の僕は実際間が抜けている。ここでいう「間」とは、時間のこと。4年生の卒論審査(答弁)会は、明日ではなくて、明後日だった…。今学期は担当する授業が少なく曜日の感覚がすっかり薄れているので、てっきり明日が日曜日だと思い違いをしていたのだった。我ながら、やれやれ、とため息をついてしまう。

 今日の朝は、10時から4年生のLさんと待ち合わせ。卒業式や卒業パーティ用のあいさつを録画してもらうため。写真を撮ることに少しは慣れてきた僕だけれど、写される側に回るのは、いまだに大の苦手である。とほほ。卒業式当日、めちゃくちゃ照れながらしゃべってる僕を見て、爆笑しないでください…頼むからっ(泣)。

 昼ご飯は3年生二人と、南門近くのレストランで。帰宅途中で院生の柴ちゃんに声をかけられる。そのとき、たまたま4年生2人と出合い、卒論審査会の話が出て、最初に話した自分の思い違いに気がついた、って次第です…。

 午後からは、まず3年生に頼まれていた日本語作文のチェック。文法や表現上の誤りなどを添削してメールで送信。偶然、本人がオンラインしてきたので、しばらくチャット。ところでこの「ネット上でのチャット」なんだけど、どうやら僕は文章が「冷たい」らしい…自分ではそんなこと全然意識してなかったんだけど、これもやっぱり事故の後遺症なのかなぁ?う~む…注意しようっと。

 午後3時、4年生のWさんと愛犬太郎来訪。卒論の最終チェック…。いや、出来としてはまだその前段階…か。時間ぎりぎりまで、自分の書いた論文の完成度を高めてもらうしかないが、間に合うかなぁ。ま、がんばってくれっ…と励ますしかないのだ、今となっては。

 明日は特に予定は入っていないので、来月上海で行われる国際フォーラムの原稿作りに専念しないといけない。長時間連続して書きモノに没頭すると、精神的に疲れてしまうので、だれか気分転換にお茶でも飲みに来てくれないかな…ぶつぶつ(←こういうことになると小声で呟くことしかできない僕であるな)。

 あー、それで忘れていたことをひとつ思い出した。日曜日の夜は朗読会の予定でしたが、卒業生による謝恩会が入ってしまったので、今週は「休講」となります。すみませんが、これ読んでくれた方、連絡をまわしてくださいねー。

本家版・端午の節句到来!

 何と言っても、今日は、このひと言から。

端午节快乐!

 昨日来、ケータイにたくさんの短信メッセージをいただきました。というわけで、申し訳ありませんが、この場をお借りして、皆さんの健康と幸せをお祈りいたします。

 ところで、「端午の節句」と言えば、日本では陽暦の5月5日。ところが中国では、陰暦で祝うので、今日が本家版「端午の節句」に当たります。この日にいただくのは、日本ならまず柏餅(かしわもち)ですが、こちらでは粽子(ゾンズ=ちまき)です。今日1日で13億個以上のちまきが消費されてるんでしょうね。さすが人口大国・中国、と言ったところ…。ちなみに今日の僕の晩ご飯は、カレーライス。う~む、何の関係もないなぁ。けど、ま、いいかぁ。

 話は変わりますが、最近の僕は、相変わらず、ヒッキー(引きこもり)的生活を送っています(泣)。部屋に籠って、読書に明け暮れる毎日。昨日からは久しぶりに三島由紀夫の世界に。『豊饒の海』第3巻「暁の寺」を読みふけっていました。とりわけ、大乗仏教における「阿頼耶識(あらやしき)」論が展開されているくだりが、妙に僕を惹きつけて、放してはくれません。これはいったいどうしたことなんでしょうね…。とても悟りの境地には程遠い僕なんですけど(笑)。

 明後日は、卒論審査会。ゆっくりと体を休めて、体力を温存しておかなくちゃ。いやいや、これは本当にマジ話。しゃきっとして、審査会に臨まないと、学生に対して失礼だしね。ということで、僕なりにがんばらせていただきますので、どぞ、よろしく。

めぐりあい紡ぐ、人の縁

 今朝10時ごろ、L主任から来電。教員採用に応募してきたNさんが来ている、とのこと。服を着替えて、教学楼に向かう。実は、このNさん、偶然にもL主任や僕の後輩にあたる。日本のN大学現代社会文化研究科博士後期課程を修了し、博士号を授与されているので、まさに「同門」。しかも研究方向が僕と同じで、修士課程では、僕の師匠であるY教授の指導を受けたというから、同門というより、はっきり言って直系の後輩なのである。博士後期課程では、同じ憲法学の専門家であるN教授の指導を受けたとのこと。N教授も、僕がN大学に立ち寄らせてもらうたびに、ご挨拶に伺わせていただいている老師。ますますNさんには親近感を抱く。ぜひ、本学の外国語学院に着任していただきたい、と僕自身は思わずにはいられない。そう言えば、この夏は、うちの大学院生5人を引率してN大学でひと月余りの研究活動を行ってもらうことになっているので、師匠のY副学長への土産話がまた一つ増えた、というところ、かな。ちなみにNさんの研究テーマはジェンダー論。これまた僕がずっと関心を寄せてきた分野でもある。さすがY副学長の下で研究を行っただけのことはあるなぁ、と今日のNさんの研究発表を楽しく聴かせていただきました。

 ところで、僕の居留証が来月には切れてしまうので、更新しなければならない。ところが学校側から連絡がない。やむを得ずL老師に頼んで状況を聞いてもらう。その結果、明日の朝、外事担当のA老師のところに足を運ぶことに。何とか不法滞在という事態だけは避けられそう…この際だから、中国版グリーンパスを申請してくれないかなぁ。申請条件は、揃ってると思うので…。はあぁ(ためいき)。かくして、僕の中国定住化計画はさらに深まって行ったりして…。ははは、まあ、それが僕の望むところ、であるわけですが。

 今週の端午節休暇が終わると、いよいよ4年生の卒論審査会。これが済めば、4年生は卒業を待つだけとなる。出会いと別れは人生にはつきものではあるけれど、縁あってともに人生のひとコマを歩んだ学生たちの新たな旅立ちには、至極感慨深いものがある。その学生たちためにも、卒論審査は厳正に行いたいと思う。それが僕にできるせめてものプレゼント。そう思ってもらえると、うれしいな。そして、言葉もなく去って行った人にも、これからの幸せを、と祈る今日の僕である。 

暮れなずむ街を歩く

 晩ご飯の材料を買い求めに、暮れなずむ街を独り歩く。キャンパスを一歩出れば、けたたましい音と人いきれの渦に僕は包まれる。5月末の、少し熱気のこもった風が街路を走りぬけてゆく。工事中の舗道をゆく人の群れは、ゆるやかな足取りで、僕の前を塞ぐ。一人で歩くときの僕は、ゆっくりと歩くのが好きではないので、前を塞がれると、思わずイラついてしまう。僕は、やれやれと深く息をついて、空を見上げる。次第に光が削がれ、空の色が闇色に変わり始めている、19時20分。雑踏が僕の意識から薄らいでいき、僕は一人っきりになったような錯覚にとらわれる。今日も、僕は独り夕暮れの中を歩いている。ふと僕は自分に問いかける…僕は、今どこに向かっているのか、と。僕の明日は、僕をどこで待っているのか、と。答えは、夕やみに溶けて、もう探り当てることはできないのに。

 早く日差しの中に戻ろう、と思う。ヒカリの領分では、僕は独りで歩いていても、一人でいることはない。少なくとも僕の影だけは、ヒカリある限り、離れることなくついてきてくれるのだから。

 

【今日の備忘録】

①朝8:00~正午 卒業論文発表会。僕は2班の発表会を担当する。学生たちの論文の完成度は、発表を聴くかぎりにおいて、いま一つの感がぬぐえない。

②昼ごはんは、D老師、Wさん、Lさんと南門近くで。やっぱり僕のおしゃべり癖は抜けきらず、3人を付き合わせてしまって、結局帰宅は15:00間近。

③帰ると、午睡。今年に入って、すっかり習慣になってしまった。予備の体力がないのだ、とみとめざるを得ない。

 

明日の光の中に歩み出よう

 今日は晴天に恵まれた。窓から見える風景は、さわやかな初夏そのものと言った感じ。もっとも、特に仕事があるわけではないので、夕食のときに外出した以外、宿舎からは一歩も出ないで一日を過ごしてしまった。いわば「体力温存」の一日…。

 じゃあ今日一日何をしていたかと言うと、これまた例によって、本の世界に埋没すること。今日は早乙女貢『沖田総司』(上下)。この作品では、幕末期の長州、したがって明治初期政権は、徹底した悪として捉えられている。それも一つの歴史観かもしれないが、長州生まれの僕としては、新撰組を「義士」として描き切る視点には、いささかの違和感を感じざるを得ないところである。読み進みながら、ふと、中国の歴史教科書における近代日本の姿もまた、それと同じようにデフォルメされ、偏った政治的視点で描かれてはいないか…と考えてしまう。実際のところはどうなんでしょうね。その点は、今後僕なりに検証してみたいと思う。少なくとも「愛国」の観点から歴史的事実を捻じ曲げて教育を行うことは、長い目で見れば、日中両国にとって好ましからざる結果をもたらすことだけは間違いない、ように思われるので。以上、ちょっと硬めの雑念でした(笑)。

 明日は(って言うか、もう日付が変わって「今日」なんだけど)、午後から学部会議。夜は朗読会。あ、その前に、昼ご飯をWさんと一緒に、という予定も入っていたんだった。うーん、やっぱり、仕事を中心に予定がきちんと入っている日の方が、気分も多少はシャッキリする。逆に、一人で部屋に閉じこもっていると、心の空洞に封印したはずの陰影が立ち現れるような気がするのだ…。

 というわけで、さあ、新しい一日のために、お風呂でさっぱりと汗を流して、眠ることにしよう。おやすみ。

見えぬ五月の空に〝Take it easy〟

 先週の「日本語スピーチコンテスト」とそれに合わせてご来訪いただいた日本からのお客様への接待に、かなり気力・体力を費やしてしまったらしい。週末には、エネルギー切れというか、すっかり体力不足を露呈してしまった僕だった。我ながら、情けないかぎり…。というわけで、昨日からは、宿舎でひとりでいる時は、寝転がって司馬遼太郎『関ヶ原』(上中下)を読みながら、体力の回復を待って過ごしてしまった。
 今週末には、学部4年生の卒業論文発表会が予定に組まれている。これを乗り切れば、少しはゆとりのある生活がまた戻ってくるような気もするのだけど…実際のところはどうなんだろうな。ま、どうなろうと、僕は僕らしく、マイペースで仕事に向かうよりほかに術はないのだけど。無理しないでがんばる、っていうのが今の僕の身上だってことだ。

 ところで、先週後半から、天気がぐずついて、いま一つぱっとしない。梅雨入りには、少し早すぎる。やはり5月は惜しげなく「五月晴れ」の毎日をプレゼントしてほしいなぁ、といささか贅沢な思いに駆られてしまう今の僕なのである。「どうぞ、天神様、そこのところよろしく」と空を見上げて呟いてる変な男がいたら、きっとそれが僕…だったりして(笑)。

 ま、過ぎたことをグダグダ言うよりも、遠い明日に目を向けて、まっすぐ一歩を踏み出すこと。それが今の僕にとっていちばんの良薬だと信じるしかないな。

Take it easy!

1週間ぶりの復活?

 指折り数えてみると、ブログを更新するのは、まる一週間ぶりのこと。16日のスピーチコンテストを軸に、あれこれと連日仕事が立て込んでしまい、とてもブログの書き込みに費やすわずかの体力さえ残っていなかった…というのが実情だったわけです。
 とりわけ、14日から18日までは、日本からのご来客(とは言っても、事実上、僕の身内衆ですが…)を迎えて、市内や学内の案内、花の生け込み(これはスピーコンテスト会場に飾られました)のお手伝いなどなど、最近の僕にしては珍しく、朝から夜まで飛び回るような日々でした。お客様には、それなりにこの旅をご満喫していただけたのなら、この上ない喜びなのですが、実際のところ、どーだったんでしょうね…。
 ちなみに、スピーチコンテストでは本校からの出場選手が、幸運にも最優秀賞を獲得いたしました。出場選手はみなさん例外なく優秀でしたから、まさしく「幸運」という言葉は的を射ているようにも思われます。それでも、選手たちの努力の積み重ねには、惜しみない拍手を送りたいと思う僕です。そして、彼らの努力を懸命に支えてくれたD老師にも、心から感謝の言葉を送りたいと思います。そうだ、忘れてはいけない、D老師には、何といっても、Happy Birthday!の言葉とともに。

 さて、明日からは、4年生の卒業論文の完成に向けて、最後のチェックとアドバイスに専念することになりそうです。この一週間、思ったよりも体力が回復していないことが露呈してしてしまったので、何とか睡眠と食事に気を配って、学生たちに迷惑がかからないよう、僕なりに努力を傾けていくつもりです。というわけなので、どうぞよろしくね。

 最後に、同じくこの一週間の話だけど、日本では新型インフルがますます拡大しているようですね。日本の皆さんも健康にご留意のうえ、五月晴れの日々をお過ごしくださるよう、心から祈っています。

ご、ごめーん><

 今日は、仕事に追い立てられて、のんびりとブログを書いているゆとりがなくなってしまいました…とほほ。明日は、ちゃんと書きますからね(泣)。とにかく、日本語スピーチコンテスト華中ブロック大会も迫ってきて、非力ながら、僕にもできることをがんばってやりたいと思います。というわけで、あまりに短い日記になって、ただただゴメンなさい、のひと言でうなだれてしまう僕なのでした…(笑)。

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生きること

 今日はずっと蒸れたような暑さに包まれていた。上海では観測史上最速の夏到来、というニュースを耳にした。武漢も、もう夏の匂いで溢れかえっているのも、無理からぬところではある。夕方、窓の外で雨音がした。ベランダに出てみると、激しい大粒の走り雨がしばらく外の風景を白っぽくにじませていた。

 冬から春、そして夏へと、僕は、この宿舎の窓から移り変わる季節を、言葉もなくひとりで眺めて過ごしてきたような気がする。この5ヶ月間、僕が考えてきたのは、たった一つの言葉に尽きる。それは「生きる」ということ。

 怪我をして以来、人の命というものが、思いもかけぬほど脆く、頼りないものだと思うようになった。それでも、僕は一命をとりとめて、普段の生活に何とか戻ってくることができた。それでいて、いまだに「生きる」ことの日常性にまだしっくりとなじめないものも感じている。そう言う意味では、体へのダメージよりも心へのダメージの方が大きかったのかもしれない。

 今、僕は澄んだ川の水のように、季節の色にかすかに染まった風のように、時の移ろいの中に漂っているような感じがする。

 生きること。夢を失わずに前を見つめること。それが今の僕に与えられた課題である。

海辺の街から

 一泊二日、海辺の街への短い旅から帰ってきたばかりの僕です。昨日は、結局ほとんど眠れないまま朝を迎えて宿舎を出た。空港には六時半過ぎについて、八時発の青島便をぼんやりと待つ。九時四〇分、青島着。もはや老朋友となったS女史がわざわざ流亭空港まで迎えにきてくださっていた。感謝、です(笑)。S女史には、市内のH大酒店まで車で送っていただいた。そこの国際旅行社に、往復航空券の代金を支払う。受け取ってくれたのは、同社の社員であり、かつての教え子であるWさんだった。しばらく彼女とおしゃべりをしてから「じゃあ、またね」と、しばしの別れを告げる。

 かつての同僚P老師に電話をかける。たまたまこの日は昼食を兼ねて家族で御嬢さんの一歳の誕生会をやるとのことだった。「そうか、もう一年も経つのか」と、時の流れの速さに思わず言葉を失う僕。午後三時、P老師ご一家とJUSCOのスタバでコーヒーを飲みながら、久闊を叙する。やはり、P老師ご家族の幸せを祈らずにはいられない。この世界に無理やり(?)引きずり込んだのは、あるいは僕自身だったかもしれないからだ。ふぅ(ためいき)。

 午後五時前にいったんホテルにチェックインしてベッドで休む。五時半、ホテルを出て、Lさんの結婚披露宴会場にタクシーで向かう。少し早すぎたせいか、知人の到来をロビーで待つ。まもなく、汪さんがやって来る。彼女と一緒に、会場となる五階にエレベーターで向かう。会場ではL、W両老師、00級の卒業生たちに久しぶりに会えて、気持ちが和んだ。この街には、それは、思い出という名の僕のかけがえのない宝物が、今も静かに息づいているのだと、あらためて感じた瞬間だった。それは、青島から海が消えることがないのと同じ道理なのだ、僕にとっては。もちろん、繊細なガラスの像が砕けるように、もう帰ってはこないものもないわけではないけれど。だから、僕は、何度青島に戻っても、もう海辺の散歩道をたどって歩くことはしない。歩いたところで失った「時」は戻ってこないし、その続きもないのだから。人には封印の必要な日々もある。

 夜9時にはホテルに戻り、ほろ酔いのままTVで時代劇「朱元璋」を観て眠る。今朝は6時半に起床。9時半にH大酒店のロビーで小珍と再会。卒業以来の再会だった。11時半、S女史が迎えに来てくれ、一緒に昼食。そのあと、足療(フットマッサージ)を受ける。S女史の心配りには、いつも感謝するばかり。

 青い青島の海を眺めながら、車は走る。やがて夕方になり、空港まで車が僕を運んでくれる。午後七時四〇分、飛行機は武漢に向けて離陸した。

 そして宿舎。僕の日常がまた戻ってきた。失ったものと失わなかったもの、その両者を天秤にかけることなど空しい。僕は、前を見つめて生きてゆくしかない、と思いながら、静かに更けてゆく夜の闇に僕はそっと身を沈めていくのだ…。おやすみ。

 

朗読会のこと そして…

 今日は今学期3回目の「朗読会」。朗読の素材として選んだのは、江国香織のエッセイ集『とるにたらないもの』から、「緑いろの信号」「お風呂」「ケーキ」の3作品。江国香織は、朗読会に参加してくれている学生たちに「誰の作品を読みたい?」と尋ねたところ、真っ先に返ってきた作家名の一つだった。肩に力の入らない自然な日本語で、日常生活に溢れた「とるにたらない」ささやかなものへの愛着がそっとにじみ出てくる文章を紡ぎ出す彼女の力は、さすがだと言わざるを得ない。

 彼女のエッセイを朗読する傍ら、思いつくままに僕はおしゃべりを続ける。学生からもいくつかの質問を受けて、刺激感のある2時間半を過ごすことができた。これが、今日の僕の幸せ感。ただ、最近は外部からの参加者がいなくなってしまったのが、ちょっと(というか、かなり…かな)残念ではあるけれど。いずれにしても、週に一回、僕と時間を共有してくれる学生がいるってことは、ぼくにとって何にも代え難い貴重な宝物なのである。

 ちなみに次回の朗読会は再来週の金曜日、午後7時開演です(笑)。

 明日は朝6時に宿舎を出発、8時の便で青島に飛ぶ。10時前には青島に到着して、久しぶりに「海辺の街」で2日間を過ごす。道連れは僕自身の影だけ。そんな旅もたまにはいい、に違いない。僕は僕を見つめる旅に出るのだから。

 どうかみんなも楽しく充実した週末をすごしてくださいね。

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課題点を論ずるも愛のうち

 ノートパソコンの電源を切らずに放っておいたので、オーバーヒートしてしまい、不意にシャットダウンしてしまった。冷めるのを待ってる間に転寝して、目が覚めたら、こんな時刻…やれやれ、とため息まじりの午前1時半。

 今日も午前中から雑務に追われた。日差しが強くなり、スーツにネクタイという格好では、自然と汗ばんでくるほどの陽気。学生の話では、週末には気温が30度を超えるという。それじゃ確かに夏そのものだ。鈴懸の並木道を歩いていると、木漏れ日を縫うように、鈴懸の綿毛が雪のように舞っている。別に花粉症ではないけれど、なんとなく歩いていると、鼻の奥がむずむずしてきそうな感じ。

 午後、W老師から来電。いつものように授業教材の日本語チェックをお手伝いさせてもらうことに。午後4時から小一時間。これはこれで結構楽しい、と思うところが、僕の工作狂的性格を如実に示しているんだろうな、やっぱりぃ(笑)。

 午後7時から音楽学院礼堂で、スピーチコンテスの予行演習。司会役4人、出場選手2人、それに教員6人が参加して、和気藹々。僕も何とか9時半まで付き合ったが、エネルギー切れのため、そこでリタイア…とほほ。参加者の皆さん、先に逃亡して申し訳ありませんでした。

 ところで、話は変わるけど(すみません、いつもの脱線癖が出てしまう…)、最近の僕は話相手が少ないためか、いったんおしゃべりを始めると、もう話を止められなくなっているのが現実。僕のテリトリー(なんて偉そうなもんじゃないけど)は日本文化・社会論なんだけど、話はそこから比較文化・社会論へと転じていくのが常で、比較の対象は、やはり中国なんですよね。僕は中国が大好きであり、そのよい面については偏見なく賛同する。だけど、どんな国や地域だって、よい面ばかりでなく解決すべき課題もある。それは決して否定できるものではない、と僕は思う。そこで、僕は最近、そうした中国の抱える課題点を話題のテーマに据えることが多くなっている。そのため、ある学生からは「最近の老石(←僕のことである、はは)老師は、中国いの悪口が多い」との批判。だけど、課題点を論じて、中国の将来をより豊かで暮らしやすい社会にしようとすることは、単純に中国の現状を褒めたたえるだけに終始するよりも、もっと大切ではないだろうか?それこそが真の理性ある愛国心だと僕は思うんだけど…。やや自己弁護を込めてひとこと言わせてもらうとすれば、耳に痛いことをあえて問う態度を悪口とは思わないでほしいなぁ…ってことなんです。ははは、また長話になってしまって、ごめんね。ではでは。みなさんに幸せな夢が舞い降りますように。

僕の分までいい夢を

 今日は朝から結構外に出て動き回っていたせいか、顔見知りの学生たちとよくすれ違い、あいさつを交わした。みんな笑顔が明るい。よく考えてみると(うーん、いや、ちょっと考えただけでもわかるが…)最近僕がいかに引きこもっているか、あらためて実感してしまう一日だったような気がする。やれやれ。

 午前中は4年生の卒論指導。昼食後3年生が2人順々に立ち寄ってくれた。午後4時半、院生1年生の授業。授業終了後、院生たちと一緒に食堂で晩ご飯。ここでも学部4年生たちに出会う。宿舎に戻ると、なぜか重い疲労感に包まれ、転寝をしてしまう。目が覚めると、もう夜9時を回っていた。

 これからもうひと仕事をして、明日は午前9時に教学楼で院生1年生と待ち合わせ。というのも、僕の経歴関連書類を学院書記に提出しなければならないため。彼女は、中国語の不得手な僕の通訳兼秘書代りである。

 書きたいことが、あれこれと思い浮かんでくるんだけど、今夜はあまり時間と体力・気力が残っていないので、長話は後日改めて、ってことで(笑)。

 みんな、どうか今夜は僕の分までいい夢を見て、ゆっくり眠ってくださいね。ではでは。

 

子供の日に駆け回る僕よ

 今日は日本の「こどもの日」(端午の節句)。日本では祝日だけど、中国では儿童节も端午节も日付が異なり、今日は平日に過ぎない。そして、今学期の僕にしては結構スケジュールの詰まった一日となった。

 午前10時、院生1年の授業。休憩時間にはW1老師が授業で使う動画の日本語チェック。正午に授業を終えて、たまたま隣室にいた柴ちゃんと一緒に南門近くで昼食。帰宅して、上海のW2老師とメッセンジャーで連絡を取り合い、添削を依頼されていた文書を送付。午後2時、4年生のW3さん来訪。彼女の卒論原稿について若干のアドバイス…って、あれ?やっぱり今日もWさんつながりのような気がしてしまうなぁ。う~む。午後3時、音楽学院前で、同じく4年生のLさんと待ち合わせ。スピーチコンテストの会場となる音楽礼堂の事前視察のため。午後4時(本来は今週から夏時間となるため、4時半開始が原則だけど…)院生2年の授業。授業終了後、2年生の柴ちゃん、Cさん、Xさんと新加坡盖饭で夕食。午後7時から、スピーチコンテストの訓練。司会者役と出場選手が集まる。D老師は腹痛のため、今晩はお休み(D老師~、早い回復を祈ります!)。午後9時過ぎ、今日の訓練はとりあえずお開き。と思ったところに、L主任から短信、「今家にいるのか?」と。帰宅して、ちょっと間をおいてL主任に電話をかけると、「すぐかけ直すから待っていてくれ」とのこと。やや急ぎの連絡事項だったけれど、その内容は、えーっと…内緒、かな、やっぱり。一応、業務行為にかかわる内容だから…(笑)。

 明日も朝8時からスケジュールが入ってる。4年生のW4さん。午前中に証明写真を撮ってもらう用事もある。午後3時、3年生のW5さん。午後4時から院生1年の授業。夜は…特に予定は入っていなかったっけ…?ま、いいか。

 少しずつではあれ、行動力は回復してきているかな、僕も。とは言っても、あくまでも仕事に関するかぎりにおいて、というだけのことに過ぎないけどさ。それでも、活力が戻ってきただけでも、ささやかな前進であることには違いないだろうから。

 というわけで、じゃあ、また明日。僕は、みんなの健康と幸せを祈りながら、いつもの深夜の世界に溶け込んでいきます(笑)。

五四 いざ行かん 遠き空の果てへ

 今日は、中国では「五四」(ウースー)。現在では愛国的な「青年の日」として節日の扱いである。しかし、ささやかながら北東アジア海域における近現代平和学に関心を持ち続けている僕にとっては、この日は、やはり歴史的に抗日「五四」運動と直線的に結びついてしまうのだ。いずれにしても、この日は中国にとって、重要な節日であることに違いはない。僕もこの歴史の1頁に深く思いを寄せずにはいらない(…黙祷)。そう言えば、僕が初めて中国に来て、最初に案内された場所が、山東省青島の「五四広場」だったことも、懐かしく思い出す。もっとも、夜分の訪問で、明かりもなく、深い闇の中で寄せては返す波の音を聞いたに過ぎない思い出ではあるけれど。

 今日の午前中は、Yさんのスピーコンテストの訓練。午後は、帰宅して、昼食をとった後、昼休み。夕方六時過ぎに買い物に出かけたとき、ばったりJさんに出会った。五分間ほど路上で近況を交えたおしゃべり。今日、僕が直接会話を交わしたのは、このお二人だけ…。

 再びひとりになってゆっくり歩きながら空を見上げたら、日暮れ間近の青い空に白い半月がひっそりと浮かび上がっていた。まるで今の僕みたいだな、と微かに苦笑して、ポリポリと頭を掻くしかない僕。黙っていても、眩く輝かなくても、在るべき場所にそっと浮かんでいるだけでも、月は月、そして僕は僕なのだからさ…(苦笑)。

 そう思う一方で、僕の中で何かが、ゆっくりと始動しはじめている。僕の中の可笑しきドンキホーテは、途方もない夢を胸に描いて、僕を急きたてる。さあ急げ、弛むな、と。そして僕は遠い空を仰いで応える 「ははは、わかったよ、我が悪友・ドンキホーテ。君と一緒に果てなき夢に向かって、この広大な大地を突き進もうじゃないか。」

 …いざ行かん、遠い空の果てまで。

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五月の風を追いかけて

 今日は一日晴天に恵まれた憲法記念日となった。昼時、そして夕方、散歩がてら買い物に出かけただけだけど、暖かな日差しとさわやかな風に包み込まれて、僕は思わず立ち止まり、青く澄んだ五月の空を見上げた。

 今、この瞬間、空を見上げて、自分のちっぽけさを感じている人間が、この世界に一体何人いるのだろう…と、僕はふと思った。それは問うだけバカバカしい、答えのない疑問ではあったけれど。でも、この世界の片隅に、そんな愚かな疑問を大切に自分の胸に突きつけてみる人間が少なくとも一人いる、という事実は、必ずしも意味のないことではない、とも僕は思うのだ。


   僕はいったい何者なのだ?

    僕はどこに向かっているのか?

      僕の夢はどこで僕を待っている?

 

答えは、すべて吹き抜ける風に舞い散り、中空に溶けてゆくばかり。

だからこそ…そうさ、僕は新たな旅を始める、五月の風の後姿を追いかけるように。

甲斐なき行動の常なるや?

 連休2日目、とは言っても、僕にはあまりかかわりがない。もともと週末で授業のない日だし、授業以外の仕事があれば、たとえ世の中が休日であろうが、そんなものを気にも留めずにやってしまうのが、ボク流マイペース仕事術なのだから。仕事量が減ってあらためて思い知ったけど、仕事というのは僕の生活リズムを維持するのに、とても役立つ代物なのだ。ということで、今日は午前中からXさんを助手代りに花市場回りに出かけた。

 大学の西門を出発して、北門を通り過ぎる。そこにあるはずだった花市場は移転してしまっていたらしく、跡形もなくなっていた。やむを得ず、そのまま東門へ。東門近くの花市場には、生け花に使えそうな花材がない。そこにあるのは、ユリとバラ。あとは造花ばかり…やれやれ。

 東門から南門に回り、そちらの花市場、花卉市場に足を伸ばしてみるも、結果は同じ。結局必要な花材はネットで注文して配達してもらうよりほかなさそうであった。どうやら花に対する感性・ニーズは、中国と日本ではまだまだ大きな開きがあることを実感させられた午前だった。

 甲斐なき行動の常として、昼時には、すっかり疲労感に包まれてしまった僕は、Xさんと一緒に食事。とは言え、なかなか食欲が湧かずに困ってしまった。早く帰って昼寝したいよぉ…僕は武昌魚をもぐもぐ口にしながら、そんな思いにとらわれ続けていたのだった…やれやれ。

 午睡のあと、Wさんの卒論原稿を読ませてもらう。ざっと目を通しただけでも、修正の必要な個所が少なくないな、と感じた。仕上げまで、もうひと踏ん張りしてもらわないと。

 んー、時計の針は午前0時を回って、すでに3日になっている。日本では憲法記念日。僕にとっては、専門分野にかかわる大切な日でもあることだし、それなりに気合いを入れてこの日を過ごしていきたい。…そのためには、まず気分一新、リフレッシュが必要。ってことで、これからお風呂に入ってさっぱりしてから、布団にもぐりこむことにしようっと。ではでは。

5月 僕の好きな季節に

 5月になりましたね。今日は、日本語でいえばメーデー。中国語ではウー・イー(五一)。あるいは「労働節(ラオドンジエ)」とも言います。中国でもゴールデンウィークであることに変わりはないのですが、去年までは1週間の休暇だったのに、今年からは3日間の連休に短縮され、ゆったりと過ごせるほどの雰囲気はなくなってしまったような気がします。もっとも、僕としては、休みより仕事の方が楽しいんだけど…(すみません、マジに「工作狂」なんですね、僕><)。

 せっかくの連休初日にもかかわらず、天気は下り坂で、午後からは雨が降り出してしまいました。やれやれ。今日は、花市場の視察をするつもりだったけど、通訳代りの院生がほかの用事で来てもらえなかった。花市場行きは、明日に順延…ってことに。シクシク。

 その代わりと言っては変だけど、4年生のWさんからは卒論原稿が届いていた。これからしっかりと読み込んで、気づいた点は、明日にでもアドバイスしてあげないと、かな。同じく上海からW老師のメールも届いていた。メールに添付されていた書類については、これまた僕にできる範囲で添削させていただくことに…へへへ。

 というわけで、今日は何となくスケジュールが狂ってしまったので、ぼんやりしていました。そこにD老師から電話。彼を誘って群光広場へ一緒に晩ご飯を食べに行くことにした。帰りにブドウパンを買うことも忘れないところが、最近の僕の習性…かな(笑)。

 今夜は、日本に派遣する院生の入国査証申請書類の作成。この手続きが、とにかく麻烦。でも、まあ、夏休みに院生たちと一緒に日本に行くのは、僕にとってこの上なくやりがいのある「お仕事」なので、がんばって作成してみますねー。ではでは。

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新着情報

「お風呂を買ってルンルンしよう」(12/18)中国語訳が追加されました。2008-12-20 NEW

「夢が試される場所」(12/11)中国語訳が追加されました。2008-12-20 NEW

「16Daysのカウントダウン」(12/16)中国語訳が追加されました。2008-12-18 NEW

「お風呂を買ってルンルンしよう」(12/18)語注が追加されました。2008-12-18 NEW

「焼きうどん のち メランコリック」(12/17)中国語訳が追加されました。2008-12-17 NEW

「原点へ、原点から。」(12/15)語注が追加されました。2008-12-16 NEW

「夢が試される場所」(12/11)語注が追加されました。2008-12-11 

「夢の背中」(12/10)中国語訳が追加されました。2008-12-11 

プロフィール

一石亭華中

Author:一石亭華中
ようこそ、本ブログページへ。
一石亭は中国在住8年目を
迎えました。
でも中国語はまだ初歩の初歩。
趣味は「お仕事」と散歩、それに写真撮影。
あ、それからお昼寝も…趣味のうち、かも…。

YouTube今週のウタちか

凹んだとき、元気がでないとき、僕を支えてくれ、力づけてくれるウタを週替わりで紹介します。ちょっと古い歌が多いかも…ですが。今週も「ちょっと切ない歌」を。

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